●このサイト(祭りの風景2006)ではトウヤの文字を、當家としている。これは田上組に残る( 當家名簿 )の表記から採っている。この名簿は昭和32年にそれまでの古い名簿が新たに書き写されたものである。上に掲載した名簿はそれを今回、そのままワープロで起こしたものに一部追記したものである。したがって今では
ほとんど使われない旧字もあえてそのまま残してある。
ところで、當家(当家)という文字表記は昔は使われていなかったのではないかと思われる。明治から昭和にかけて精力的に日本中の習俗や民間伝承などを収集した民俗学者、柳田国男の数多い著作物
にもこのような表記は見当たらない。全て( 頭屋 )という表現になっている。また、祭りに際して神社側から出されたものと思われる書類には( 当屋
)という表記がされている。つまり( 当家、当屋、頭屋 )という三種類の文字表記が混在しているのである。このうち最も古いのは、( 頭屋 )、以下(
当屋 )( 当家 )の順だと考えられる。田上組には當家( 当家 )という比較的 新しい表記がされている。昭和32年に書き写すときにあえて文字を変えるとも思えず、それ以前か
ら書かれていたとすれば、少し不思議な気がする。
さて、この三種類のトウヤをグーグルで検索してみると、圧倒的に多いのは( 当家 )である。そして最も少ないのは( 当屋 )であった。もっとも(
当家 )が多いのは別の使い方、当家 ( 我が家という 意味のトウケ ) が多く含まれているからである。それを考慮すると( 当家 )はかなり減ってくる。したがって、トウヤの表記は(
頭屋 )もしくは( 当屋 )のほうが一般的であるような気がしてならない。
昭和32年に書き写された當家名簿
( 神輿役割表 當家名簿 )