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里山 フォトレポート シリーズ No.12

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 ムカデも、他の多くの虫たちと同様に自らの触角を片方づつ大顎でたぐりよせて舐める行為を頻繁に繰り返す。そして時には、体を丸めて足を舐めることもある。
 ムカデは、トカゲの尻尾のように敵に襲われると自ら足を切り落とす(自切)することがある。この足は脱皮をすることによって再生するといわれている。

 私が観察中のムカデも何時からか左の後ろ側から6番目が欠損してしまった。ある日、ムカデを眺めていると、いつものように触角を舐め終えた後、珍しく体を大きく後方に湾曲させて自分の足を舐め始めた。何本かの足を順番に舐めてゆくうちに、足が一本欠損している箇所にたどりついたのだが、驚いたことに存在しない足を根元から舐めるような動作をしたのちに、次の足へと移っていったのだ。
 瞬間、私の脳裏を≪幻肢≫という言葉がよぎった。その間、僅か2〜3秒の出来事ではあったのだが、本当にあれがムカデの≪幻肢≫だったのか どうかは今も分らない。
 ≪幻肢≫ ごく稀に、事故などで手足を失ったりしたような状況下で、本人には失ってしまった手足があたかも存在するように感じ、時にはその存在しない部分が痛みまで伴うことがある。これは≪幻肢痛≫とよばれている。 
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(徳島県美馬市脇町東田上にて撮影 2008)

●トビズムカデ 
オオムカデ目 オオムカデ科 学名  Scolopendra subspinipes mutilans
 分布は本州以南となっているが、おそらく北海道にもいるのではないかと思われる。アカズムカデと少し小型のアオズムカデはトビズムカデの亜種である。トビズのトビとは、鳶色(茶褐色)のことだろう。一般的な体長は8〜15cmで稀には20cmクラスのものもいるらしい。ここに掲載した個体(撮影用として短期飼育)は触角と最後尾の足を除いた胴体長が14cm程あったのでかなりの大型の部類になる。
 トビズムカデは変態せず そのままの姿で越冬し、驚くことに5〜7年の寿命があるらしく、かなりの長命のようである。そういう訳かどうかはともかく、ムカデをペットとして飼っている人もいるようで、外国種の輸入もされているという。
 
 

20080724___20081003