イノシシは危険な動物だろうか? イノシシはハンターや猟犬に対しては攻撃的になるようだ。特に罠に掛かったり、致命的でない程度に被弾した手負いのイノシシは人を見ると向かってくる可能性が高い。イノシシをよく知っている人ほど危険な動物だと考える傾向があるように思える。イノシシの武器は特徴のある鋭い牙、そして歯である。クマのように爪で襲ってくるということは無い。とはいえ、興奮したイノシシの牙で切られる猟犬もいるくらいだから油断は出来ない。また罠に掛かった後、ある程度の時間の経ったイノシシの中には罠に捕らえられた前足を自ら引きちぎって逃げるものもいる。
 よく動物はこちらが敵意を持たなければ襲って来ない。などと言われることがある。たしかに野生動物は相手の持つ殺気のようなものを敏感に嗅ぎ取る本能的なものを持っているように思える。

 余談になるが、鷺(サギ)という鳥がいる。水辺を餌場とするどこにでもいる、とくに珍しくもない鳥だが非常に警戒心が強くなかなか人の近くによってくることはない。そのためこの鳥を近距離から撮影するのは意外と難しい。カメラで狙われているということを敏感に感じ、警戒して距離を詰めさせてくれないのである。ところが釣り人に対してはカメラマンほどには警戒しないのである。また河川敷などの牧草地で人の運転するトラクターのすぐ後を付いて回リ、草むらから追い出された虫などを食べたりもするのである。このように動物は、自分自身に対して無関心であると判断した人間には彼らなりの警戒のレベルを下げることがある。これはイノシシにおいてもある程度は当てはまるように思う。
 イノシシは山道などで出会ってもたいていは逃げてしまうことのほうが多い。但し、発情期のオスは例外的で、近くにメスがいたりするときには威嚇してくることもある。
  (左の写真)

20070728      LAST UPDATE 20081007

このイノシシは、こちらに気付くと、ずっと睨み付けたまま動かなかった。

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