【イノシシの活動時間帯】
イノシシが夜行性だと思っている人は意外と多い。しかし本来は昼間に活動する動物である。農作物の被害にあうのが夜間に多く、朝起きてみたらやられていたということや、数が増えているにもかかわらずイノシシそのものを昼間あまり見かけないということが原因だろうと思われる。田上地区でも農作物に対する被害にあうのは夜間が多いが、私の観察フィールドのイノシシたちは完全な昼行性を示し、山中での移動や採餌行動も昼間に行っているようであった。
 野生イノシシの活動時間帯に関しては仲谷淳氏による【六甲山におけるイノシシの活動開始と終了時刻】という研究がよく知られている。

 田上地区での観察は1月中旬から5月中旬の間と短い期間ではあるが、記録数はかなり多く、ここでのデータもその研究結果とかなり近い傾向が出ているように思う。私は専門家ではないので、それほど詳しく記録しているわけではなく、もっぱらデジタルカメラによる記録を利用している。デジタルカメラは便利なもので撮影時の露出などのテクニカルデータ以外に撮影時刻も記録される。欲を言えばそのときの気温や湿度、さらには気圧までも記録できるような機種があればいいと思うことがある。
 私の場合、観察場所に着いてから15分以上経過した後に活動の気配が感じられた時点で、とりあえず時刻記録用として空シャッターを切るようにしている。15分という時間そのものには特別な意味はないが、私が観察場所に着いた時点で、すでに活動していた場合には活動の開始時刻がわからないからである。
 ここで観察しているイノシシは、ひとたび活動を始めると30分以上は継続する傾向があり、複数のイノシシが同じような時間帯にそれぞれ行動するので全体としての活動の途中での15分の空白時間はほとんどないと考えている。したがって私が観察場所に到着してから15分経過した後にイノシシの気配が確認できればそれを活動開始とみなしているのである。ここでいう気配とは音であり、必ずしも姿が見えなくてもよい。
 観察地のイノシシはかなり急な山の斜面に現れるので彼らが動き始めると小さな小石などの転がる音がするのである。

20070728___20081007

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