横たわった1頭のイノシシに対して、もう1頭がまるでマッサージをするように上から下へと鼻先をこすりつけていた。この2頭のイノシシは兄弟であろうと思われる。

 私が観察している田上地区のイノシシは、たまに一週間くらい全く姿を見せないことがある。観察を始めて日が浅い頃はそのたびにどこかへ移動してしまってもうここへは戻ってこないのではないかと不安になったりしたこともあった。ところが、しばらくするといつの間にか再び姿を見せるようになるのである。
 こういったことが何回か繰り返されるうちに、私はここのイノシシたちはいくつかの餌場を循環しているのではないかと考えるようになった。

 観察している場所のひとつは大雑把ではあるがおよそ2ヘクタールくらい位はある。そしてその範囲にだいたい6〜7頭のイノシシが生息しているのではないかと考えている。動物であるから当然、一箇所にとどまっているとは限らないのでこれはあくまで推測にすぎない。

 イノシシは遠くから見るとよく似ていて個々の識別が困難なことが多い。特に生後1〜2年位の個体は判別しにくく生息数を調べる時には本当に苦労する。
 そのため私は、同時に目撃確認、またはかなり離れている位置で別々に目撃し明らかに違う個体であると判断できたときの数をカウントすることにしている。成獣の場合には個体の特徴が出てくるものもあり、なかには200メートル位離れた場所からでも判るものもいる。
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イノシシのグルーミングも他の動物の場合と同じように仲間とのコミュニケーションのひとつであろう。ダニなどを落とすような二次的な効果もあるのかも知れない。

20070728___ 20081007

【イノシシの個体識別と生息数】