野生イノシシのフィールドサインといえば、誰でもすぐに足跡や糞を思いつくが、そのほかにも頻繁に行き来することによって出来た獣道、鼻で掘り起こした穴、浅い水場の泥水で体をこすりつけたヌタバや気に入った立ち木に体を擦り付けた跡などがある。
 田上地区ではこれらすべてを比較的簡単に目にすることが出来る。そしてイノシシを観察するときにはこれらのサインから情報を得ることが出来る。土質にもよるが足跡はたいてい時間が経つとすぐに崩れて不鮮明になるのでそこに現れた時期を推察することが出来る。足跡が新鮮な場合は現れてからあまり時間が経っていないということになる。またある程度の大きさを推し量ることも出来る。イノシシの糞は崩れにくく足跡と違って山野で比較的長期間、そのままの形をを保っている。通常でも一週間、条件がよければ3週間くらいは崩れずにそのままの形で残っていることがある。新しい糞はツヤがあるが時間の経過と共に乾いてくる。糞からはイノシシの大きさや数を推測することが出来る。糞の太さは即、イノシシの大きさと関連している。同じ場所に太い糞と細い糞が混在していれば、親子連れであろうということは容易に想像が付く。

少し時間が経ったイノシシの足跡

20070728___20081007

イノシシが体を擦りつけた跡。( ○印 )

イノシシのヌタバ、周りには足跡が見られる。
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イノシシが掘り返したために
根が露出した樹木。

枯れ草でドーム状に作られたイノシシの巣

左の写真(○印)は、偶然撮影できた
野生イノシシの脱糞の瞬間。
下は少し古いイノシシの糞。