l                      photo by  Satoru Fujimoto


 1958年に完成した東京タワーは、2008年10月にちょうど50歳を迎えたということでメディアでもいろいろと取り上げられた。背景にはリリーフランキーによるベストセラー本の存在や映画化された昭和ノスタルジーブームの波があった。東京タワーは都民にとってはもちろんのこと、それ以上に地方からの上京者にとっては、大都市東京の象徴的な存在であった。

 70年代始めの東京には、今のような超高層ビルなどはほとんど無くて、1968年に竣工した霞ヶ関ビルが超高層ビルの代名詞のような時代であった。その2年後に貿易センタービルが出来た後には、西新宿の淀橋浄水場跡地を始めとして多くの場所に高層ビルが次々と建設されるようになる。超高層ビルの建設は都心の地価とリンクしていて、2003年の六本木ヒルズタワーで、一応のピークを迎えることになる。地価は景気に左右される。嘗ては超高層ビルはほとんどがホテルやオフィスビルであったが、後には居住用としての高層マンションが多く建設されるようになってきた。
 東京タワーは鉄塔であってビルでは無いが、今でも、東京の眺望ではNo.1である。それでも1960~1970年までとは違って、東京タワーの大展望台(250メートル)には及ばないものの好眺望のビルなどが増えたことで東京タワーの人気に少し翳りがでていた時期もあった。

 私が初めて東京タワーを撮影したのは1971年の8月である。当時まだ高価だった一眼レフを手に入れて間もない頃で、これといった目的意識もなく、ただ漫然と目に映るモノにレンズを向けていた。
 西新宿には、今では全国展開しているあのヨドバシカメラ本店があって、そこでトライXやネオパンSSSの100フィートの長巻きフイルムを入手し、ローダーを使って空のパトローネに詰め替えて使用していた。こうすることによって1本あたりの原価がほぼ半額くらいになったように思う。難点は使用するパトローネの状態によっては光線引きが起きることが少なからずあることだ。それでもフイルム原価を安く抑えられるメリットは大きく、店頭にはこうした客に対するサービスとして現像後に不要となった空パトローネを大量に入れたダンボール箱が置かれていた。

                         
( PENTAX  SP  55mmF1.8   35mmF2        MINOLTA  X700  35-70mm  F3.5   200mm F2.8        TRY-X    NEOPAN-SSS )   

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