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里山 フォトレポート シリーズ No.10

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(徳島県美馬市脇町東田上にて撮影 2008)

カブトエビは、水面近くで、時々、このように背面泳ぎをすることがある。多くの足が波打つようにゆらゆらと動く様子は、5億3000万年前の古生代カンブリア紀に生息したといわれる肉食動物のアノマロカリスをイメージさせる。
 このような行動は、同じような環境下で生息するホウネンエビでも見られる。

●カブトエビ科(Triopsidae) カブトエビ属(Triops)
生きた化石と言われ、古い形質を残している淡水性の小型の甲殻類。
 強固な殻を持つ卵は暑さや寒さ、乾燥に対して耐久性があり、卵の状態ではかなりの年月に亘って生き抜くことが出来る。水田などの水環境が与えられると僅か2〜3日で孵化し、その後、およそ1ヶ月の間に何度も脱皮を繰り返し20〜40mm位までに成長する。
 日本では3種類のカブトエビが見られるが全て外国からの移入種である。

(掲載写真は全て宇民家の水田に生息するカブトエビである)

●このように、水田の底を活発に動き回り、泥を掻き回すために、カブトエビの生息する田は薄く濁った状態になっている。農薬に対しては非常に弱く、無農薬の水田で無ければ生息出来ない。

● 宇民さんが完全無農薬による米作りを始めたのは1994年からである。今では化学肥料も全く使用していない。そのため田植え時期になると宇民家の水田には孵化した多くのカブトエビが姿を現す。ホウネンエビ(豊年エビ)等も大量に発生し、賑やかになる。
 カブトエビは雑食性で、ボウフラ等の動物質の他、雑草の新芽も食べる。また、泥を掻き混ぜ水を濁らせ、雑草の光合成を阻害するため除草効果がある。カブトエビに比べて豊年エビは体が小さく ほとんど効果は無いようだ。こうしたカブトエビによる水田の雑草防除効果は、1平方メートルあたり30匹位で十分可能だという。
 水田で孵化したカブトエビは、およそ1ヶ月活動を続けた後、泥の中に産卵し、ほどなく死んでしまう。

20080702  20081003