かつて廃家電がうず高く積まれていた場所の片隅にイノシシのヌタバがあり大小の足跡が数多く見られたこともあったが、最近はあまり見かけなくなった。
10年経った今でも、敷地内にある溝の一部には当時 埋められた廃家電製品の残骸からのものと思われるオイルが滲み出て、水面に浮かんだ油膜が春の陽射しの中でキラキラと虹色の光を放っていた。
今年はイノシシが少し減ったためか、焼却場跡のすぐ下にある溝で、大量の蛙の卵が見られた。
錆び付いた炉の内部には今も大量の灰が残っている
あの騒動から 2年後の1999年、会社側によって廃家電製品の撤去が全て完了し、その跡地に八重桜やハナミズキ等が植えられた。同年4月22日には住民や会社関係者、当時の町長らが集まっての記念植樹のセレモニーが
催されたりもした。
しかし、その後何回かは草刈リなどが行われたりはしたものの、いつしか忘れ去られ、後はほとんど整備されることもなく、春になると雑草の生い茂る中で、あの時植えられた桜やハナミズキが、訪れる人も無いなかで、ひっそりと花を咲かせている。
当初、言われていたような公園にこそならなかったが、この地が静寂を取り戻していることは確かであり、むしろ、このほうが結果的には、よかったように思えてくるのだ。
当時植えられた桜
( ハナミズキ )
( ベニバナハナミズキ )